はじめに

 ICカードを使った電子マネーの実用化実験が全国に先駆けて平成9年8月から、三鷹
駅前商店街を舞台に開始された。この電子マネー実証実験プロジェクト「エレクトロニッ
ク・マーケット・プレイス(EMP)」は通産省主導による電子商取引推進事業「エレク
ロニック・コマース(EC)」の一環として行わているもので、民間企業で構成された
「エレクトロニック・マーケット・プレイス推進協議会(EMP協議会)」が主体で運営
されている。
 この電子マネー実証実験プロジェクトでは、新たな産業の創出や市民生活の利便生が高
まり、駅前商店街の活性化にもつながるということから、三鷹市のご協力を得て、ICカ
ードに住民票や印鑑証明証等が自動発行できる三鷹市民カード機能を実験期間中に限り付
加している。
 この電子マネー機能と行政機能が一体となった総合的多機能カードの実証実験開始から
3ヵ月を終え、実験の取り組み状況と市民の反応を紹介する。

1.エレクトロニック・マーケット・プレイス(EMP)実証実験

 通産省では、平成7年度に一次補正で約100億円の予算を確保し、平成9年度末まで
の間、ECの技術的、制度的な諸問題の克服を目指し、企業コンソーシアムによる19の
プロジェクトが採用され「電子商取引実証推進協議会」を通じて、各実証実験が行われて
いるところである。
 三鷹駅前商店街を中心に行われているのが、その19のプロジェクトの一つである電子
マネー実証実験「エレクトロニック・マーケット・プレイス(EMP)」である。実験は
平成9年8月から開始され、10年の2月までの7ヶ月間行われ、当初のモニター会員定
員4,500人を想定している。
 このEMP実証実験は、クレジットとプリペイド決済の両方に使える利便生の高いIC
カードを発行し、実験参加店舗に設置した専用端末を利用し、マルチ決済における利便性
や小口利用・高額利用の使い分けニーズを実証するものである。同時に、インターネット
上の決済についての実証実験も平成9年4月から開始されている。
 実験推進母体のEMP推進協議会は、民間企業7社で構成されており、カード発行と運
営については、ジェーシービ及びイオンクレジットサービスが、カード専用端末の開発は
日本IBMが、暗号技術についてはNTTアドバンステクノロジが、インターネットショ
ッピング・仮想商店については、資生堂、日本出版販売、ジャスコがそれぞれ役割を担っ
ている。 



(1)狙いと特徴

 EMP実験の大きな特徴は三つある。一つは、実際に電子マネーカードが導入された時 に最も近い形での実験となることである。大型ショッピングセンターやデパートでのハウ スカード的な利用実験とは異なり、従来カード使用ができなかった近所の商店街で食料品 や日常品等の買い物を通じて電子マネーの使い方・受け入れ方を実証するもので、実生活 に一番近い使い方が検証される。二つには、後述するが三鷹市民カード機能が付加されて おり、全国ではじめて電子マネー機能と行政機能がジョイントされ、その利用形態や今後 の行政カードのあり方を模索していることである。三つには、全国約2,000人対象に 実施しているインターネット上での電子決済の安全性及び機器の操作性の検証である。 具体的な目的としては、  @ICカードを利用したEC取引の実験  A電子商取引(以下「EC」という。)に対する店舗のニーズ把握  BEC取引における消費者と店舗との契約方法、内容の検討  CEC取引におけるリスクマネージメントの実証  D新セキュリティ・プロトコル(手順)の構築と実証  EICカード発行・再発行の運営ノウハウの蓄積  Fマルチファンクション機能ニーズ(実商店と仮想商店の使い分けニーズ実証)  Go市民カード機能と他の機能とのジョイントの可能性 を探ることを大きな柱に据えている。

(2)カード機能と三鷹市民カード機能

 実験ICカードの名称は「EMP/JCBカード」と言い、1.電子マネー機能(プリペ イド)2.ICクレジット機能(サイレンス)3.通常のクレジット機能(要サイン)4.三 鷹市民カード機能 の4機能を持つ「マルチファンクションICカード」である。このIC カードには、クレジットカード情報に加え、カード所有者を確認する個人認証情報、決済情 報の暗号化を行う鍵情報が予め書き込まれている。  三鷹市では、今回の実験への協力として、三鷹広報等を通じてモニターの参加募集などの 広報活動を行うとともに、平成8年2月から開始した各種証明書が自動発行できる「市民カ ード機能」を付加させている。現在市では、「印鑑登録証兼三鷹市民カード」と「三鷹市民 カード」の2種類を発行しており、前者は、住民票の写し・印鑑登録証明書だけでなく市民 税・都民税課税証明書等の各種税証明書が自動交付でき、10月末で約32,000枚が発行 されている。後者は印鑑登録証以外の各種証明書が取れ、600枚が発行されている。自動 交付機は市役所に2台、三鷹駅前ショッピングセンターコラル内に1台設置されており、休 日・夜間(9時まで)等の利用が可能となっている。今回の実験では、商店街カードやクレ ジットカード等と複合した将来の総合多機能カードとしての行政カードの方向性を検証をで きると期待しているところである。

(3)参加店舗は生活に密着した46店

 今回実験に参加した店舗は、三鷹駅前商店約500店のうち46店舗。婦人服や靴鞄等の 日用品から焼き鳥やすし屋等の飲食店まで、生活のあらゆる場面で電子マネーの利用が可能 である。具体的には、衣料・寝具が8店、靴・鞄が3店、インテリア・雑貨・文具が4店、 花・陶芸が4店、楽器・写真・化粧品が3店、理容・美容で2店、すし屋・喫茶店等の飲食 関係がPS店、カラオケが2店、ガソリンスタンドが4店、スーパー・食料品が2店である。 参加店には、ICカードの情報を読み取る専用端末が置かれ、1円のものから高額のものま で、キャッシュレスで買い物ができる。



 実際の電子マネーの使い方だが、カードが手元に届いたら、三鷹駅前のいくつかの銀行と 信用金庫等に設置された入金用カードローダー(入金機)で入金する。入金額が電子マネー としてICカードに記憶される。実験での限度額は2万円で、クレジット扱いによる入金と なり、後日登録した銀行口座から引き落とされる。電子マネーカードに入金したらさあ買い 物へ。参加店では、先ず買い物客用のCATから本人が暗証番号を入力する。この暗証番号 が入力されて初めて、電子マネーの鍵が開き、店に設置されたICカード専用端末の情報が 読み取れるしくみで、利用金額、残額がICチップに記憶される。電子マネーの残高以上の 買い物は、ICクレジットか現金支払いも可能である。最後に、利用金額と残高が印字され たレシートが発行される。  この一連の電子マネーの流れを文章にするとかなり手間がかかるような印象だが、実際に 利用すると、暗証番号を入力してレシートを受け取るまではほんの数十秒間。クレジットサ インやおつりの確認もいらないので、かなり早い。参加店舗の店員が慣れてくるとさらに時 間的には、スピードアップされるだろう。


電子マネーの利用状況と市民の反応,行政カードは多機能型へ



「三鷹市での電子マネー実証実験」