セミナー情報

「ITマーケティングにより、CS向上、ES向上、ひいては社会価値向上が可能」

KIISセミナー「顧客サービスの『見える化』」パネルディスカッションレポート

■日時: 2009年4月23日(木) 15:00〜17:00
■場所: KIIS第1会議室 (大阪市北区梅田1-3-1-800 大阪駅前第1ビル8階)

■パネリスト:
大阪ガス株式会社 情報通信部課長 松波 晴人 氏
シナジーマーケティング株式会社 営業部
    パートナーセールスグループ マネジャー 笠川 路人 氏
■コーディネータ:
財団法人関西情報・産業活性化センター 事業推進グループ部長 横尾 修

 

 2009年4月23日の第23回KIISセミナー「顧客サービスの『見える化』」では、KIIS事業推進グループの横尾部長によるコーディネートのもと、大阪ガス株式会社情報通信部課長の松波晴人氏(写真1右)、シナジーマーケティング株式会社営業部パートナーセールスグループマネジャーの笠川路人氏(同左)の2氏が、それぞれの研究や事業展開に基づいて議論を深めました。

 パネルディスカッションに先立ち、松波氏からは「新たなマーケティング手法―サービスサイエンス・行動観察技術のビジネスへの応用―」というタイトルで基調講演をいただき、具体的な事例も豊富に取り混ぜながら、人間工学や心理学の見地からのマーケティング手法開拓について最新動向をご説明いただきました。また笠川氏からは、「CRMによる顧客管理―SaaSによるIT経営の革新―」について講演をいただきました。

写真1■大阪ガス株式会社・松波晴人氏(右)とシナジーマーケティング株式会社・笠川路人氏(左)

 

写真2■KIIS 横尾修

 ディスカッションでは、最初にCS(顧客満足)とES(従業員満足)との繋がりについて議論が交わされました。まず松波氏が「営業活動に関する行動観察では、『よく売ってくる営業マンほどお客様の言うことをよく聞いてくる』ことがわかってきた」と補足。「お客様の方も話を聞いてもらえることで満足度が増し、営業マンは販売実績が上がればやる気向上に繋がる」と述べられました。また合わせて「何らかの方法で業務効率化が進めば、お客様のためにもっとこうすればよいという考えを深めることができ、CSを実現することができる」としました。笠川氏はリゾートホテルでのCRMマーケティングシステム導入事例を引き合いに、顧客データベースを活用し、お客様に対して至れり尽くせりのサービスを提供することで、従業員自らも満足度が向上した実績を説明されました。

 松波氏は「顧客は十人十色ではなく『一人十色』であり、ニーズは極めて多様化している。こういったニーズを的確に把握するためには、人間工学や心理学など、人間の根本的な特性に立ち戻る必要がある」と強調されました。

 行動観察技術手法とCRMマーケティング手法の相互補完については、松波氏が「行動観察によって捉えられる情報は10人程度が限界で、そこからは『仮説』までしか得られない。CRM手法によってその仮説が検証できるのではないか」と述べ、また笠川氏が「CRMマーケティングでは、顧客の購買行動や履歴など膨大なデータは蓄積できるものの、その行動の裏にある環境や背景までは把握できず、行動観察手法による裏付けが極めて有効」とするなど、異なる手法を組み合わせることによって顧客の真の姿を見ることができるという期待が高まりました。

 最後に、それぞれの顧客サービス向上の取り組みが社会全体の価値向上に繋がるという視点からそれぞれ意見をいただきました。松波氏は、企業にとっては活動状況や企業努力の中身をわかりやすく顧客に伝えることで企業価値を「見える化」することが重要であると強調されました。合わせて行動観察手法を政策立案に取り入れているデンマークの事例も紹介いただきました。笠川氏からは顧客管理システムの拡大と個人情報の散在の問題が取り上げられ、将来的な課題としてそれらのデータの「名寄せ」による整理によりマーケティング効果の増大を図ることができないかとの意見が出されました。

 締めくくりに、KIIS横尾部長より「今回採り上げた『サービスの見える化』は企業にとって非常に大きなテーマであり、KIISでも引き続き関連する研究会を開催していく予定である」との説明がなされ、パネルディスカッションを終了いたしました。